2010年受賞作品

受賞作品|審査員講評|

審査員講評

関東・関西審査委員長 伊久 哲夫 (積水ハウス株式会社 取締役 常務執行役員)

地球に優しい住生活デザインというテーマに応えつつ、独創性があり、実現性もあるということが、本コンペ作品に求められている。しかし、テーマ性、独創性、実現性の3拍子そろえることは至難の技と言える。
少しでもそこに近づけるためにお願いしたいことは、テーマに係わる現場を知ること、現場のヒトとの接点を持つことが重要。Web情報は二次加工された情報、生の情報を元に発想し、創造して欲しい。また、コンペのプロセスの中で、成長していく作品と変わらぬ作品があるが、成長していけることがこのコンペの特徴であり、リアルサイズで考える過程で、実現性を獲得していくことが求められる。
今回の入賞作品も、独創性、テーマ性、実現性の3つの課題に何らかの方向性は示しているものの、まだまだ課題は残している。今後のさらなる進化と成長に期待したい。


関西審査委員 中村 勇大 (京都造形芸術大学 芸術学部 環境デザイン学科 教授)

5月の説明会に始まり11月の3次審査へ到る半年間で、参加された学生諸君は見違えるほどに成長します。例えば、私から私以外の人たちへと客観性が広がり作品の質が高まります。今を生きていることへの実感がさらに強まるからでしょうか。人々の生活をより豊かにするために何が必要かと真摯に立ち向かおうとするからでしょうか。それは、単に短期集中の成果主義でない、長い時間の中で思考を巡らし、時代への希望と強い意志を導き出す意義ある空間であることを、このコンペは志し高く語っています。


関東審査委員 岩村 和夫 (東京都市大学 環境情報学部 環境情報学科 教授)

審査の主な評価ポイントは4つあった。(1)各審査段階における審査委員からのコメントに対して答え、作品が進化したか、(2)作品のコンセプトが、リアルサイズのプロダクトを作るレベルに達しているか、(3)作品に住生活の具体的なシーンがイメージできているか、(4)人の生活を豊かにする「デザイン」コンペとして作品に「ユーモア」が感じられるか、である。最優秀に選ばれた「めぐりバス」は、これら全てに真摯に答えており、審査員全員から高い評価を得た。今年は昨年に比べて力のある作品が多かったが、来年のさらなる展開を期待したい。